テープ起こしの仕事を長年続けている方は、音声認識ソフトってどんなもんなんだろうと一度は興味を持ったことがあるかと思います。最近の音声認識の精度はすごいらしい。ということは、テープ起こしの仕事をしている人にとっては脅威になるのではないか。そう思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
コンピューターは人間が使うものであり、複雑な判断は人間がしなくてはならないと思われていましたが、最近はそうとも言ってられない状況になってきています。
1997年にチェスの世界王者ガルリ・カスパロフさんが、IBMが開発した「ディープブルー」というチェス専用のコンピュータと対戦して、1勝2敗3引き分けで負けてしまったという出来事がありました。
将棋はチェスと比べて、持ち駒が使えるなど複雑なルールがあるため、コンピューターがプロ棋士のレベルに達するのは先のことだろうと言われていましたが、最近はコンピューターがプロ棋士に勝つこともあり、コンピューターのレベルが急速に上がってきているようです。
音声認識の世界でも精度は急速に上がってきています。iPhoneに搭載されている音声認識の機能もなかなかのもので、私もiPhoneでGoogle検索を音声認識で試してみたら、あまりの精度の良さに驚きました。このままではテープ起こしも人間が作業するのではなく、パソコンソフトが簡単に変換する日が来るのではないか。私もそう思い、不安になりました。
ならば試してみようということで、『AmiVoice SP』というソフトを購入してみました。パソコンにソフトをインストールして、マイクで自分の声を認識させると精度は良かったです。やはりテープ起こしの仕事がなくなってしまうのかもと絶望的な気分になりながら、次にお客さまから依頼を受けていた音声ファイルを認識させてみました。すると、あれあれ・・・、音声ファイルから文字に変換された内容を見てみると、めちゃくちゃな内容でした。音声ファイルから文字に変換する場合は、音声ファイルの状態も良く、はっきりとした音声でないと厳しいようです。テープ起こしの仕事を受けるときに、そのような条件に合う音声ファイルを受け取ることは難しいと思います。
将来的にコンピューターがテープ起こしの仕事をする日が来るかもしれませんが、当分は食いっぱぐれることはないなとホッとしました。
音声ファイルからの変換が難しいようなら、自分が音声ファイルを聞きながらマイクに向かってしゃべればいいのではと思い、それも試してみました。音声ファイルの状態が悪かったとしても、自分がはっきりマイクに向かってしゃべればいいので、これはかなりいい精度で文字変換することができました。ですが、マイクに向かってしゃべるよりも自分がブラインドタッチでキーボードを打ったほうがはるかに速かったです。
キーボードを打つスピードの遅い方が音声認識ソフトを使うという場合にはいいかもしれませんが、テープ起こしの仕事をしている方でしたらブラインドタッチを覚えて速くキーボードを打つ努力をしたほうがいいと思います。
ソフトを購入したのは痛い出費でしたが、いい勉強になりました。